1945年の8月23日にソ連軍最高司令官スターリンが50万人の日本人捕虜をシベリアに強制移送する秘密指令を発した8月23日に、毎年国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集い」を開催しています。
今年も8月23日午後1時から国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集い」を開催します。どなたでも参加、献花いただけます。
2022.8.23. 第20回「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集い」から
1945年スターリンが日本人捕虜50万人のシベリアへの強制移送を命じた8月23日に、今年も国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集い」を開催しました。新型コロナ感染第7波に注意しながら、約150人の方が参列、献花くださいました。
シベリア抑留者支援センター、シベリア立法推進会議、韓国シベリア朔風会、日本・ロシア協会の共催で、厚生労働省、外務省、東京都、千代田区、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、産経新聞社、日本経済新聞社、東京新聞の後援をいただきました。
ウクライナへのロシアの軍事侵攻開始後6ヶ月、20回を迎えた今年の追悼の集いも、恒例の遺族のバリトン歌手・古川精一さんの「異国の丘」の独唱で始まりました。黙祷の後、主催者代表挨拶、厚生労働省大臣挨拶、衆参議長弔電紹介と続き、12年ぶりにそろってご参列いただいた衆参副議長からも追悼の言葉をいただきました(*12年前は衛藤征士郎衆院副議長・尾辻秀久参院副議長)。各政党代表の追悼の言葉、遺族の中原さんの追悼の言葉の後、全員で献花を行いました。(写真=山本康行)
■主催者代表挨拶 新関 省二
8月23日に、シベリア・モンゴルから帰ってきたご遺骨が眠るここ千鳥ヶ淵で「追悼の集い」を始めて、今年20回を数えます。19年前の第1回には、シベリアから戻ってきた抑留体験者は50人ほど参加しました。その後、だんだんと広がり、各政党の代表や政府の代表もお越しくださるようになり、2010年にはシベリア特措法が制定され、近年は大使館の皆様も参列くださる、国民的・国際的な式典となってまいりました。
他方、シベリアから帰ってきた仲間たちも、年をとって、次々他界し、第1回目からの参加者はとうとう私一人になりました。私自身は96歳ですが、生存する抑留帰還者の平均年齢は今年99歳になります。もういつが最後になるか分かりません。
その節目の20回目になる今年、2月にロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が始まり、半年がたちます。直後に緊急声明を出しましたが、今も全国に散在する抑留体験者が声をふりしぼって「やめてくれ」と語っています。兵士・市民の区別なく、人が人を殺すことは間違っています。破壊も略奪も許されません。捕虜や住民が虐待されたり、強制移住させられたりすることが繰り返されてはなりません。
77年前、何日も鉄道に乗せられ、シベリアから先に送られる途中で、何人も息絶えた仲間を線路の脇に埋めながら、先に進みました。本当につらかったです。
私たちだけでなく、ここに眠る1万7千余のご遺骨の御霊が、「馬鹿なことは繰り返すな」「犠牲はもう我々で本当に終わりにしてくれ」と叫んでおられると思います。
戦争が終わった後に、6万人もの犠牲を支払って、我が国と世界は何を学んだのでしょうか? 原爆を投下し、無差別爆撃を繰り返したアメリカにしても、ソ連・ロシアにしても、戦勝国は、今も国際人道法違反の罪に気づいてないのではないでしょうか? 歴史の教訓が生かされず、悲劇が繰り返されていることに悔しい思いがいたします。もちろん、私たちも大いに反省しなければなりません。
祈るだけ、願うだけでは、「平和」は歩いてきてくれません。
千鳥ヶ淵に眠る戦友、シベリアの凍土に眠る約4万柱の仲間のご冥福を心よりお祈りします。コロナとウクライナ戦争で、凍土に眠る仲間の帰国がさらに遅れて、遠のいてしまうことを本当に申し訳なく思います。
国は、こうした状況下でもすでに得られている資料を活用し、実態解明を進め、死亡者の特定だけでなく、なぜこのような悲劇が起きたのか? 再発防止には何をすればよかったのか? 教訓を導き出して、分かりやすくご遺族と国民に説明していただきたい。
そのために不十分なのであれば、シベリア特措法も改正していただきたい。コロナとウクライナを口実に事業を停止したり、休止してはなりません。国は、シベリア特措法が示した方向性に即して、この追悼式典も民間任せにせず、政府が主催すべきです。
今日はカザフスタンとウズベキスタンの大使もお越しくださっています。今年、ロシア大使はあえてお招きしませんでした。しかし、いずれ戦闘が終わり、和平が実現し、往来も再開され、駐日ロシア大使だけでなく、ロシア大統領が訪日の際にこの墓苑を訪れて献花してくださることを、その日が一日も早く訪れることを切望しております。
コロナ禍でも、この集いを開催できましたことに感謝申し上げます。20年近く集いを支えて下さってきたボランティアの皆様、ありがとうございます。
ご参列の皆様に御礼とともに、一層のご協力をお願い申し上げて、またご遺族と皆様のご健勝とご多幸をお祈りして、主催者のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
(シベリア抑留者支援センター世話人、神奈川県在住、96歳)
■挨拶 加藤 勝信厚生労働大臣 (代読・本多則惠大臣官房審議官)
第20回シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集いの開催に当たり、一言、御挨拶を申し上げます。
この集いに当たり、戦後、酷寒の地において、祖国を思い、愛する家族を案じつつ、劣悪な環境下で亡くなられた強制抑留者の方々に思いを致し、謹んで哀悼の誠を捧げます。
厚生労働省は、これまで、戦後強制抑留者特別措置法に基づき、平成23年8月に閣議決定された「強制抑留の実態調査等に関する基本的な方針」を踏まえ、関係省庁と連携し、民間団体等の協力も得つつ、抑留中に亡くなられた方々の特定や、御遺骨の帰還に取り組むとともに、慰霊巡拝を実施してまいりました。
シベリアやモンゴルにおいては、平成3年以来、2万251柱の御遺骨の収容を行ってまいりました。現時点では、新型コロナウイルスの感染状況等の影響により、海外での遺骨収集は可能な範囲での取組とならざるを得ない状況にありますが、未だ帰還を果たされていない多くの御遺骨が、一日も早くふるさとに戻られるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。今後も、遺骨収集に対する御遺族の思いをしっかりと受け止めながら、責任を持って遺骨収集事業に取り組んでまいります。
戦後77年を迎える今日、戦中・戦後の労苦を体験された方々が少なくなる中、先の大戦の教訓を風化させることなく継承していくことの重要性が高まっています。若い世代へ先の大戦の記憶を語り継いでいくとともに、世の恒久平和と繁栄に、能う限り貢献していくことをお誓い申し上げます。
終わりに、抑留中に亡くなられた方々の御霊の安らかならんことを、そして、関係者の皆様方の御平安を切に祈念して、挨拶といたします。
また、同日23日夜から25日夕刻にかけて、48時間かけて故・村山常雄さんが作成された46,300人分の死亡者名簿をリレー式に読み上げる追悼イベントを行いました。今年も8月23日から26日にかけてリモート(Zoom)での朗読を予定してしています。都内の会場でもご参加いただけます。電話でもご参加いただけます。多くの方のご参加を呼びかけます。
詳しい参加要領は、専用ホームページをご覧ください。⇒ https://2020redress.wixsite.com/46hourszoom
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