第5回「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」受賞者が決まりました

山口隆行さんと堀川優奈さんが受賞

 4万6300人のシベリア抑留死亡者名簿を一人で作成された村山常雄さんが2014年5月11日に逝去されて、まもなく10年です。村山常雄さんの偉業を記念して創設された「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」の第5回の受賞者が決まりました。

 収容者と家族が交わした俘虜郵便(葉書)の研究を続ける山口隆行さん(平和祈念展示資料館学芸員、明治大学大学院文学研究科史学専攻日本史学専修博士後期課程単位取得満期退学、38歳)と『捕虜体験記』(全8巻)編集代表の高橋大造氏の研究を続ける堀川優奈さん(東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻博士課程満期退学、31歳)のお二人です。

 贈呈式は、5月11日(土)午後2時から、千代田区立九段生涯学習館2F「九段ギャラリー」で行います。なお、同ギャラリーでは5月10~17日村山常雄さん関連資料と抑留体験者3人の展示を行います(催し・イベント案内欄をご覧ください)。選考委員の講評も贈呈式で発表します。


 第4回村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞は富樫耕介さんに贈られました。

 46300人のシベリア抑留死亡者名簿を一人で作成された故村山常雄さんの偉業を引き継ぎ、若手の研究者育成のために設けられた村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞の4回目の受賞者に富樫耕介さん(同志社大学大学院准教授)が選ばれ、2022年5月23日贈呈式が九段生涯学習館で行われました。(写真:山本康行)


選考委員の藤本和貴夫前大阪経済法科大学学長から賞金(20万円)、副賞の「捕虜体験記」全8巻が贈られました。

<受賞者略歴>富樫 耕介(TOGASHI Kosuke) 

1984年4月29日東京生まれ(38歳)

2007年3月 横浜市立大学国際文化学部卒業

2009年3月 東北大学大学院国際文化研究科博士前期課程修了

2012年12月 東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。

外務省国際情報統括官組織CIS担当専門分析員、日本学術振興会特別研究員DC 2・PD、在ウズベキスタン日本国大使館専門調査員、東海大学教養学部講師を経て2020年より同志社大学政策学部准教授、地域紛争研究センター副センター長。

ロシア・東欧学会研究奨励賞受賞(2019年)。

〔研究業績〕

『チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズム』明石書店(2015年)、『コーカサスの紛争:ゆれ動く国家と民族』東洋書店新社(2021年)、ほか。

<受賞対象論文>

●「『記憶』を『記録』する:あるシベリア抑留経験者のオーラル・ヒストリー(1) 出生から徴兵まで」『東海大学教養学部紀要』第49輯(2018年、2019年3月30日)https://researchmap.jp/read0144558/misc/ 16632629

●「『記憶』を『記録』する:あるシベリア抑留経験者のオーラル・ヒストリー(2) 満洲における兵役」同第50輯(2019年、発行は2020年3月30日) https:// researchmap.jp/read0144558/misc/24740774

●「『記憶』を『記録』する:あるシベリア抑留経験者のオーラル・ヒストリー(3) ビロビジャンとハバロフスクにおける抑留」『同志社政策科学研究』第22号(第2号)、2021年 https://doshisha.repo.nii.ac. jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=27904&item_no=1&page_id=13&block_id=100


「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」について

  2014年5月11日に逝去された村山常雄さんの業績の不滅の偉大さを長く伝え、鑑とするため、「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」を下記の要領で設けました。

 1)  目的: 2014年5月11日に逝去された村山常雄さんの抑留死亡者研究、名簿作成に尽力された不滅の業績を長く伝え、鑑とし、若手の研究者によるシベリア抑留研究を奨励するため。

 2)対象: 授賞対象はシベリア抑留関係の論文類を発表した若手研究者。(国籍・言語は問いません。)

 3)募集期間: 2年に1回とし、第1回は2016年3月末までに発表された論文を対象。

 4)賞金・副賞: 賞金は20万円。(*複数受賞の場合は各10万円ずつ) 副賞は「捕虜体験記」(捕虜体験を記録する会発行、全8巻)

 5)選考者: 富田武(成蹊大学名誉教授) 藤本和貴夫(大阪経済法科大学学長) 長縄光男(横浜国立大学名誉教授) 下斗米伸夫(法政大学教授)

    内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)    

    6)事務局: シベリア抑留者支援・記録センター ☎03-3237-0217 E-mail: cfrtyo@gmail.com

     *提案者:故白井成雄名古屋大学名誉教授(遺族・2014年11月7日逝去、2014年5月13日提案)

   

第1回村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞、小林昭菜さんとシェルゾッド・ムミノフさんが受賞(2016年5月)

第1回の受賞者は、小林昭菜さんとシェルゾッド・ムミノフ( MUMINOV SHERZOD)さんに決定。村山常雄さんの命日の5月11日に、東京・永田町の星陵会館で贈呈式が行われました。(なお、ムミノフさんは現在英国在住のため、贈呈式には出席できませんでした。)

 

 お二人の略歴・業績は以下のとおりです。

小林 昭菜(コバヤシ・アキナ) 

 

1982年6月1日長野県生(33歳)

2005.3.法政大学国際文化部科卒業 

2008.3.法政大学院人文科研究国際化専攻修士課程終了

2015.9.法政大学院治研究科専攻博士後期課程修了 (政治学博士)

 (発表論文)

「第二次世界大戦後のソ連における日本人捕虜に関する最近の研究―日本人将兵抑留決定過程の検証を中心に―」、2015年度日本国際政治学会(C-1日本外交史Ⅱ 戦争と日本外交)発表論文、2015年10月 ほか

 

シェルゾッド・ムミノフ (MUMINOV  SHERZOD)  

 

1982年8月17日ウズベキスタン生  (33歳)

国籍 ウズベキスタン 所属 ケンブリッジ大学アジア・中東研究科  

Faculty of Asian and Middle Eastern Studies, University of Cambridge

2005.6. ウズベキスタン、タシケント市世界経済外交大学国際関係学部 卒業

2006.9. 英国マンチェスター大学大学院国際政治学研究専攻修士課程 修了

2010.11. 筑波大学大学院人文社会科学研究科国際地域研究専攻修士課程 修了

2016.5. 英国ケンブリッジ大学大学院アジア・中東研究科日本研究専攻博士課程修了・博士取得

(論文)

「冷戦初期日本における菅季治の犠牲:赤狩りのソ連からの引揚者」、下斗米伸夫編著『日ロ関係:歴史と現代』、法政大学出版局、2015年3月 ほか 

 

第2回村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞、森谷理紗さんとセルゲイ・キムさんが受賞(2018年5月)

 

<受賞者略歴>

森谷 里紗(Moriya Lisa) 

1980年11月27日神奈川県生まれ(37歳)

3歳よりピアノを始める。

1999-2003年東京藝術大学音楽学部楽理科、2003-2005年同大学院修士課程(音楽学)を経て渡露。

2005-2006年グネーシン記念音楽大学研修後、2010年チャイコフスキー記念モスクワ音楽院大学院で博士号(芸術学/音楽学)取得。同時に同音楽院作曲科3年に編入し、2013年卒業。

2010年度日ロ青年交流センター若手研究者等派遣フェローシップ≪日本人研究者派遣≫受給。

2011年モスクワ音楽家協会150周年記念音楽コンクール作曲部門グランプリ。

2013年国際パイプオルガン作曲コンクール第3位(モスクワ音楽院)。

2017年4月、著書『20世紀から21世紀初頭にかけての二つの音楽文化の相互作用:日本とロシア』(ロシア、サラトフ音楽院)出版。11年間のロシア生活を経て2017年帰国。現在、神奈川県相模原市在住。

【対象となった著作・論文】 森谷理沙『20世紀から21世紀初頭にかけての二つの音楽文化の相互作用―ロシアと日本』(露文、サラートフ、2017年)第1部「日本におけるロシア文化」

 

セルゲイ・キム (Sergey Kim)  国籍 ロシア

1988年10月12日生 モスクワ生まれ(29歳)

所属 ロシア科学アカデミー・ロシア歴史研究所軍事史部研究員

2006-2011年  モスクワ州立大学でロシア史専攻、修士号取得(修士論文「第二次大戦後のロシアにおける日本人捕虜」)

2011-2015年 ロシア科学アカデミー・ロシア歴史研究所博士課程で学ぶ。

2016年 博士号(歴史学)取得(博士論文「ソビエト連邦内の日本人捕虜(1945-1956)」)

【対象となった著作・論文】

「ロシア公文書資料から見たソ連における日本軍捕虜」(『軍事史学』211号、邦訳)

「1945-1950年の日本軍捕虜に対する食糧保障」(露文、『軍事史雑誌』2015年第2号)

「1946-1950年における日本軍捕虜のソ連からの送還」(同上、2015年第3号)

「ソ連領における日本軍捕虜(1945-1956年)」(露文、モスクワ、2016)